
「上越新幹線開業記念入場券」を眺めていると、紙の匂いとともに、遠い昭和の空気が静かによみがえる。上越新幹線が開業したころ、交通博物館の記念切符販売コーナーには、新しい時代の到来を祝う熱気が漂っていた。
その中で私が選んだのは、なぜか「浦佐」の入場券だった。東京でも新潟でもなく、当時の自分にはあまり縁も馴染みもない駅名である。ただ何となく、その響きに惹かれたのかもしれない。知らない土地の名を選ぶことで、まだ見ぬ雪国への想像が少しだけ広がった。
しかし今になって振り返ると、浦佐という駅には別の意味も漂っている。政治駅という噂をまといながら、新幹線の歴史の中に刻まれた存在。その背景を知った今なら、きっと違う興味を抱いて買っていたのだろうと思う。
それでも、一枚の小さな入場券には、当時の無邪気な旅心と、後から知る鉄道の奥深さが、不思議な具合に重なって残っているのである。