広島のスカイレール廃止へ

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広島のスカイレール廃止へ

広島の丘の上に、不思議な乗り物があると聞いたのはずいぶん前のことだった。住宅地の名にまでなった「スカイレール」。1997年、スカイレールタウンみどり坂の入居が始まったころ、この街とともに生まれた空中の交通である。山の斜面をゆるやかに登り、静かに住宅街へ人々を運ぶその姿は、どこか未来の暮らしを先取りしたような響きを持っていた。

しかし、そのスカイレールが廃止になるという。2020年度には5200万円の赤字を抱え、やがて役目を終え、これからはEVバスへと姿を変えるらしい。時代の流れと言えばそれまでだが、長いあいだ空を渡ってきた乗り物が静かに消えていくと思うと、胸の奥にぽっかりと小さな風穴があく。

街の名にまで刻まれた乗り物は、きっとこの丘の風景そのものだったのだろう。住宅の屋根の上をすべるように進み、坂の街の暮らしをそっと支えてきた空中の道。

その話を聞くと、まだ見ぬ乗り物に対して不思議な郷愁がわき上がる。空をゆく小さな車両に揺られながら、広島の丘をゆっくり登ってみたかった。そんなささやかな旅の願いが、いまになって静かに胸の奥で動き出している。

 

みどり中央駅

みどり中街駅

みどり口駅

 

スカイレールはJR山陽線瀬野駅前と「スカイレールタウンみどり坂」との1.3キロ、高低差約200メートルを約6分で結ぶ。料金は片道170円。高台にある団地への足として、1998年に運行を始めた。運営する「スカイレールサービス」は、電気自動車(EV)路線バスへの転換を検討している。
中国運輸局によると、20年度の同社の営業費用は約1億7千万円、営業収入は約5200万円と赤字だった。11月末までに住民への説明会を複数回開催する。団地に20年住む男性は「車社会で仕方がないのでは」と話した。
(広島スカイレール終了へ 国内唯一の交通システム: 日本経済新聞)

2026年3月15日 2022年11月14日